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2007年8月25日 (土)

仙人の忘れ物

「 ほら、今 あんたも 通ってきたじゃろう 」

「 あぁ、 あの杉の大木ですか 」

「 うんうん、 あの木の根元に あったものじゃよ 」

痩せてはいるが 矍鑠 ( かくしゃく ) とした感じの老人が

白いものの多くなった髭をなでながら 柔和な表情を見せた。

 

 

Img_0229

私の手の中にあるものは

岩に苔むしたような 風情のある酒器 である。

 

 

 

「 いい肌をしているであろう? 苔が 生えているような ・・・

いや、実際 生えておったのじゃよ。

相当 長い間、あそこに 忘れられていたものと 見える 」

 

 

この 大きくも 深い森の 樹々や 岩の苔を

そのまま 映したような 不思議な 色合い。

 

 

 

 

 

Img_0231

「 わしが思うに、 この酒器は 多分

この森に棲む仙人が 酔って 忘れて行ったものじゃろうな 」

老人は 茶目っ気のある笑いを 浮かべ、そのぐい飲みで 酒を あおった。

 

 

 

私も つられて 酒を呑もうとして ふと思った。

 

 

 

 

 

その仙人とは 目の前にいる この老人ではないか、と。

 

 

 

 

 

 

 

いえ、これは 当然 作り話。

 

 

  

先月、某百貨店で行われていた 篠原希氏の個展に 出掛けてきた。

そして 昨年に引き続き 手に入れた酒器が これである。

 

 

Img_0227

詳しい説明は 避けるが

今回の器は 「 引出 」 と言う 手法なのだそうだ。

いつもながらに 素敵な作品が たくさんある中で

ひときわ 光を放っているような感じを 受けて

この酒器に 心を 奪われてしまった。

 

 

昨年の酒器 も そうだが

自然釉の美しさが 目を 惹く。

火で焼かなくては 決して 出せない魅力であり

「 焼き物 」 と言うに まさに ふさわしい作品である。

 

 

 

 

今回は 炎の動きや 灰の降り方を 予想しつつ 焼かれたとのこと。

今後 どのような器を 作られていくのか、

またの個展が ますます楽しみな 篠原氏である。

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陶芸 - 酒器」カテゴリの記事

コメント

お写真を拝見して、
篠原氏
(この方をゴン太は存知あげませんが)
の作品では?と、なんとなく感じるものがありましたなあ。
去年の篠原氏の記事から、もう1年以上ですか。
時が経つのは本当に早いですなあ。

お気に入りの作家さんの作品を
集めるのは楽しみですよなあ♪
ゴン太も昔、年に1度の展示会に数年通い、
作家さんのティーカップを集めた時期がありましてなあ。
ははは。

来年も素敵な作品を入手できると良いですなあ~。

投稿: ゴン太 | 2007年8月27日 (月) 10:45

こんにちは^^

一つ一つの作品に、物語があるなんて素敵です。
炎の動きや灰の降り方を予想するってことは、
単に窯に入れるのではなく、窯の中のどこに
どの作品を置くかまで考える必要があり、非常に
興味深いです。
そうやって、この道の魅力にはまっていくんでしょうね。

投稿: まっしろ | 2007年8月27日 (月) 16:34

>ゴン太さま
 
こんばんは。
 
おぉ、わかりましたか!
そうなんですょ、
あれからもう1年。
 
ご案内が来ていたので
楽しみにして 行ってまいりました。
 
毎度のことながら
それぞれの作品について
やさしく丁寧に ご説明いただきました。
作品に対する愛情が伝わってきて
是非その賜物を 手に入れたいと思ってしまうのです。

 
ティーカップを 集められていたのですね♪
気に入ったものをそばに置いておくと
心が豊かになるような気がしますよね (^-^)
 
 
 
 
>まっしろさま
 
こんばんは。
 
作品から感じられる物語は
きっと 人それぞれでしょうねw
花mameの場合は こんなお話が浮かんだのです。 
 
篠原先生は 自作の穴窯で焼いていらっしゃるんです。
もう信楽で作陶されて10年以上とのこと。
まっしろさんがおっしゃられるように
場所による火の通り方などが
わかっていらっしゃるから 予想が立つのでしょうね (^-^)
 
ちなみに 電気窯でもモノによっては
違いが出てくることもあるんですよ♪ 

 

投稿: 花mame | 2007年8月29日 (水) 20:46

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